小地域別景気動向指標
兵庫県内の地域別GRP(支出側)の2019年度の動向と2020年度/2021年度の見込
2019年度の兵庫県経済を振り返ると、年度前半の動きに関しては、個人消費が、GWの際の連休期間が長かったことや、前例に比べ小幅であったものの消費増税前の駆け込み需要があるなど、内需は前年度に続き底堅さを保った。
また、企業部門は、アジア経済が低調で外需の動きが弱まった一方、人手不足への対応などで域内における設備投資の増加基調が持続した。もっとも、年度後半になると、消費増税前の駆け込み需要の反動から、個人消費や設備投資が減速した。駆け込み需要が小幅であった分、その反動減も限定的であったものの、年度末にかけ、新型コロナウイルスの広がりから、インバウンド消費の大幅な下振れ、商業施設における自粛営業など、消費の低迷度合いが増した。2019年度を通
じてのGRP(実質値)は、前年度に比べほぼ同水準を維持したものの、2018年度に続き、前年度比マイナスとなった。
令和2年度(2020年度)の兵庫県経済は、期初から新型コロナの影響により、大幅な縮小となった。企業部門は、前年から計画されていた設備投資の動きはあるものの、製造業を主体に減益が続いた。外需に関してもコロナウイルスパンデミックを背景に、輸出が停滞し、海外との行き来が制限されるなか、インバウンド需要がほぼゼロとなった。また、個人消費も、外出自粛、雇用機会の喪失に伴い低迷した。年度前半における緊急事態宣言の解除以後は、家計や企業の活動がみえたものの、第2波、第3波の到来と、先行き不透明な状態が続き、回復ペースは再び鈍化した。このため2020年度のGRP(実質値)は、前年度に比べ大幅なマイナスとなり、前年度比が3年連続のマイナスになる見通しである。
令和3年度(2021年度)の兵庫県経済は、個人消費は、ワクチン普及に時間を要するなか、3密の回避といった感染防止策など下押し圧力が継続し、低調に推移。雇用環境、所得環境も厳しい状況が続こう。外需には持ち直しの動きがあるが、貿易取引の回復に時間を要すると見込まれる。GRP(実質値)は、大きなマイナスとなった2020年度に比べ持ち直し、2019年度と同水準まで回復することが見込まれる。安定した動きを取り戻すのは2022年度以降となろう。