IPSプロジェクト
「アジア経済圏に根ざした地域企業の事業展開」
担当者:岩瀬 真央美
今日、「地域」を取り巻く環境は大きく変化している。価値観の多様化や経済のグローバル化を背景として地域経済の疲弊が進むと同時に、モノ・ヒト・ カネ・サービスが自由に移動する「アジア経済圏」の形成による地域経済のリージョナル化が同時に進行している。このような中で、地域産業は、その地域に留 まらない、複数の地域を視野に入れた包括的な産業構造の再構築を図ることが求められ、地域企業も新たな事業展開を図ることが不可避となっている。
アジア経済圏の多様な価値観の中で事業活動を行う地域企業は、事業活動を行う地域社会との相互理解を深めて、協同して発展するためには、その国の 「法律」だけでなく、各地域社会の文化や習慣といった「ルール」を理解・尊重することが重要である。本研究では、アジア経済圏の中から「チャイナ・プラ ス・ワン(China plus one)」として注目を集めている東南アジア諸国、その中でも近年特に経済を含めた幅広い分野で関係が急速に深まっているメコン地域諸国(カンボジア、タ イ、ベトナム、ミャンマー、ラオス)を中心に、「ビジネス・ルール」の調査・研究に取り組む。
本プロジェクトでは、メコン地域諸国の地域企業や地域社会との事業連携を考えている地域企業との共同研究を通じて、メコン地域の社会慣行や法制度な どの「ビジネス・ルール」について、文献調査や現地調査を通じて多角的に検討し、理解を深める。地域企業による円滑な事業活動の遂行に必要不可欠となる 「ビジネス・ルール」について、「法律」に加えて、各地域社会の文化や習慣といった暗黙の「ルール」を含めた総合的な調査を行い、アジア経済圏における 「ビジネス・ルール」を明らかにする。プロジェクトを通じて、多様な文化的・社会的・経済的背景をもつアジア経済圏において、「ビジネス・ルース」を理 解・尊重する「地域」に根差した「地域企業」のあり方を探ることを目指す。
本プロジェクトは、
- アジア経済圏の多様な価値観の中で事業活動を行う地域企業が、事業活動を行う地域社会との相互理解を深めて、協同して発展するための方法を考える手がかりの提示
- メコン地域諸国の地域企業や地域社会との事業連携を考えている地域企業に対して、事業展開へのきっかけの提示
- 文化・習慣を異にする人々が数多く暮らす「地域社会」の中で、価値観の相違から生じる摩擦を克服する手掛かりの提示による、多文化が共生する魅力的で刺激的な地域社会・地域経済の創造
- 文化「摩擦」を克服した活力ある「地域社会」による地域企業の事業活動への新たな可能性を生み出す可能性の提示
を通じて、変化に直面する地域企業や産業の活性化を支援する。
2010年12月23日 更新