小地域別景気動向指標
兵庫県内の地域別GRP(支出側)の2021年度の動向と2022年度/2023年度の見込
1.2021年度(令和3年度)の兵庫県経済を振り返ると、感染再拡大など新型コロナによる抑制要因が続いたものの、基調としては改善の動きがみられた。オミクロン株といった新たな変異株が出現し、その感染防止策などから、個人消費は、一進一退の動きで低調な推移となった。雇用環境、所得環境は、前年度に比べやや改善がみられたが動きは鈍いものであった。海外との行き来の制限が継続され、インバウンド需要も厳しい状況が続いた。企業部門では、デジタル化への対応などを反映した設備投資に関しては堅調に推移した。他方、個人消費に関連した地場産業では厳しい状態が続いた。2021年度GRP(実質値)は、大きなマイナスとなった2020年度からの持ち直しもあり、3年ぶりに前年度比プラスに転じた。
2.2022年度(令和4年度)の兵庫県経済は、不安定な国際情勢、新型コロナの変異株の広がりなど、先行き不透明感のなか、持ち直しの動きが続いている。個人消費は、感染再拡大に対し活動制限が取られなかったこともあり、外食や宿泊といったサービス部門の動きが強まった。ただ、輸入インフレ圧力からエネルギーや食料品の価格上昇が大きくなっている。今後は、人手不足感の強まりもあり、ホームメイド・インフレの要素が大きくなっていこう。
企業部門では、原油といった一次産品価格の上昇圧力や部品調達の懸念など影響があるものの、アジア、欧州向けの外需拡大への対応や中長期的な成長に向けたデジタル分野の強化、脱炭素化などから、設備投資は高い水準となっている。2022年度GRP(実質値)も、前年度比プラスが続くと見込まれる。
3.2023年度(令和5年度)の兵庫県経済は、海外との行き来の制限が緩和されるなど、新型コロナ禍による影響が弱まるなか、個人消費は、緩やかな改善が続こう。企業部門でも、欧米における金融引き締めを反映した外需の弱まりが重石となろうが、堅調に推移するものと見込まれる。もっとも、コロナ禍に伴う落ち込みからのリバウンド要因が剥落していくことや、インフレ圧力の継続などから、実質的な購買力が弱まっていくことが懸念される。