私は、技術系国家公務員(いわゆる「技官」)として17年間建設省、国土庁(本省・現場)および地方公共団体において公園緑地、都市計画、土地政策の行政実務に携わった後、教育研究の場に転身してきました。したがって、教育研究の場でもそれまでの行政実務経験を踏まえ、そこで培ったことをさらに発展させるとともに、それらの成果を「これから社会でリーダーとして活躍していくべき世代」に引き継いでいくことを教育研究の目標としています。
グローバル社会のなかで「生き残る都市・地域」とは、結局のところ持続性があり、人々を引きつける魅力のある都市・地域です。そして、その両方を実現していくのに不可欠なのが緑や自然環境です。
この緑や自然環境を活かして「自然との共生する真に豊かな都市づくり、地域づくりを実現していくのか、そのために、実際何に、どういうふうに取り組んでいけばいいのかを具体的・実証的に、かつ実現性をもって示す『政策提案』」が研究テーマです。
このため、緑や自然環境と調和する都市実現のための土地利用計画制度、特にマスタープランのあり方、都市農地の利用法、その計画を実現していくための誘導政策のあり方、その過程での市民参加のあり方、実現された緑や自然環境のマネジメント方策などを具体的に研究しています。
また、兼務する兵庫県立淡路景観園芸学校では、わが国では初めての本格的なまちづくりボランティアリーダー育成講座を立ち上げ「まちづくりガーデナー」の育成を行っています。
21世紀にふさわしい環境と調和した都市づくりのため、「みどり」という素材に着目しそれらを都市計画制度・事業等を駆使しながらどう都市のなかに確保し、マネジメントしていくのか、特に市民参画の視点にも立脚しながらその計画のあるべき方向を探り、それを実現していくための政策論に展開しています。
また、そのような緑や自然環境を単に保全・創出するだけではなく、それらを活用してどう地域の人々や経済を元気にしていくのか、客観的な効果の検証や具体的なプログラムづくりにも取り組んでいます。
最近は以下のようなテーマに取り組んでいます。/
各地の緑の基本計画の策定作業に実際に携わりながら、よりよい計画内容とその策定のあり方について研究しています。
市民自身が緑のまちづくりを行う「オープンガーデン活動」を対象に、それが地域に及ぼす経済波及効果を検証したり、その活動が持続性を担保する仕組みを研究したりしています。
低炭素都市づくりのため、都市内の緑、特に民有地の緑が二酸化炭素の吸収源としてどう機能するのか、その機能を適切に発揮させるための土地利用計画のあり方や、その吸収機能を地域のカーボンオフセット活動に活用することにより緑が持つ効果を経済的に顕在化させることにより、緑を確保する活動を誘導するシステムの研究を行っています。
ビルの屋上を単に緑化するだけでなく、貸し農園として展開することにより、ヒートアイランド緩和等の環境保全に資するだけでなく、高齢者の元気回復・福祉、次世代に向けての食育等に活用し、さらに経済的にもなりたつシステムを研究しています。
有名観光地だけではなく、地域に存在する景観、特に「農家の前栽」が形成する景観こそが本当の日本の原風景であることに着目し、それを外国人観光の資源として活かすシステムを研究しています。