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研究者紹介

客員教員・研究員

青田 良介

2010年7月5日 更新
客員研究員
aota.jpg 青田 良介 AOTA, Ryosuke

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研究室:
【専門分野】
災害復興/国際防災協力

【研究テーマ】
現在の研究テーマ:災害復興を地域再生につなげる「新しい公」の役割について

阪神・淡路大震災を契機に、地域の住民や企業、学校といった多様な主体が自ら地域づくりに携わる、それをNPOや専門家等外部の支援者が応援する「新しい公」の役割が認識されるようになりました。行政による「公助」の場合、大多数の被災者に共通したニーズに対応したり制度を構築したりすることに傾注しがちですが、「共助」では身近な被災者に寄り添い個々のニーズを解決することから活動を展開するケースが多いです。「自助」により自ら解決できる能力を向上させるのも重要です。官民が連携し相互に補完することで効果的な役割分担が期待できます。

復興では、被災者の生活や住宅の再建への公的支援は個人の資産形成につながるものとして、被災者の自己責任や自助努力に委ねられ、被災前の状態にすら戻れない被災者が多数発生しました。そうしたなか、阪神・淡路大震災では、「新しい公」によるコレクティブ・ハウジングや高齢者見守りシステム、専門家を交えた復興まちづくり、コミュニティ・ビジネスなど新たな仕組みが提案されました。新潟県中越地震でも、中間支援組織や有識者等が支援することにより集落再生のための取り組みを展開しています。台湾地震では「一村一品」運動が実施されました。これらに対し「復興基金」や「義援金」を活用し、財源面で「新しい公」を支援する仕組みも実施されています。

これらは災害を契機にした社会的実験ともいえます。これを災害復興にとどめず、その後の地域再生につなげられないでしょうか。少子高齢化や成熟社会においては、かつての高度経済成長時代のような右肩上がりの成長を期待できず、既存のシステムに変わる新たな発想や仕組みが必要です。復興をバネにした様々な試みを全国の地域再生に汎用できないか、「新しい公」による地域再生モデルの構築が期待されるところです。阪神・淡路、新潟や能登での地震や海外における災害後の先進事例や課題を調査しながら、そうした地域再生モデル構築のため研究を進めています。海外でも復興に関する研究は不充分であり、地域再生につなげる研究は国際貢献の観点からも有益なものと考えられます。

これまでの論文では、
  • 「台湾大地震後の「全國民間災後重建聯盟」から学ぶ民間中間支援団体の役割について」(青田良介・室崎益輝共著)、地域安全学会論文集No4、213-220頁、2002年11月
  • 「米国・ノースリッジ地震を契機に設立されたネットワーク型中間支援組織の機能に関する研究」(青田良介・室崎益輝共著)、地域安全学会論文集No5、219-226頁、2003年11月
  • The Shared Role of Self, Mutual and Public Support for Disaster Reduction in Japan"(Ryosuke Aota, Akihiko Hokugo, Yoshiteru Murosaki), 14th World Conference on Earthquake Engineering, 2008.10
  • 「減災に向けた民間の役割と公民連携のあり方に関する考察」(青田良介、北後明彦、室崎益輝共著)、関西学院大学復興制度研究所紀要No1、2009年3月
  • 「災害復興基金と中間支援組織が連動した上での地域主導による復興推進のあり方に関する考察」(青田良介、北後明彦、室崎益輝共著)、地域安全学会論文集No12、2010年3月
等で検討しているところです。